神経病

一言に神経病といっても原因は様々です。脳に問題があることあれば、脊髄もしくは筋肉に問題があることもあります。さらに、脳に原因がある場合は、症状も多岐にわたります。
当院では学会等で常に新しい神経病の知識を取り入れてます。

水頭症

水頭症とは脳内の液体成分である脳脊髄液が過剰に溜まってしまう病気です。過剰にたまると脳を圧迫してしまい、ぼーっとしたり歩き回ったり、発作等が出てきます。
チワワやヨークシャーテリアに先天性によくみられます。頭に穴が開いている(泉門)場合は、エコーで脳の液体が溜まっているかの状態を確認することもできます。
確定診断はMRIが必要です。症状が出てくる場合は、内科的に脳の圧力を下げたり、外科的に脳の液体をお腹に逃すための手術(VPシャント)をする必要があります。

特発性てんかん

てんかんとは脳の電気的な異常により起こる発作です。意識を失い足を突っ張りながら全身性の全発作、体の一部分を震わす部分発作の大きく二つがあります。失禁したり脱糞することもあります。
1日に何回もてんかんが起きる群発発作や30分以上てんかんが起きる重積発作など発作にもさまざまな種類があります。
重積発作は命に関わることもあるので、迅速な対応が必要です。
診断はMRIにおいて脳内に異常がないことと初発の年齢、脳波を測定して総合的に判断します。
治療は基本的に内科的に行いますが、最近ではてんかん外科という外科手術で特発性てんかんを治療する方法も出てきました。
特発性てんかんの治療については、てんかんの頻度や長さによって変わりますので、まずはご相談ください。

前庭疾患

バランスがとれなくかる病気です。脳のバランス感覚を司る部分や耳の三半規管の障害により、症状が出ます。症状は頭が傾く(捻転斜頸)や目が揺れる(眼振)、嘔吐、歩行困難などが挙げられます。
ほとんどの場合が内科的に治療を行いますが、麻酔をかけて耳を洗浄したり、脳腫瘍が原因であれば外科手術を行うこともあります。

脳炎

脳に炎症が起きる病気です。ネコちゃんでは細菌やウイルスのこともありますが、ワンちゃんでは原因不明のことが多いです。けいれんやふらつき、視覚障害、動きが大げさ(測定過大)など脳内の炎症の場所によりさまざまです。MRI検査と脳脊髄液検査で診断します。
治療は内科的に行います。

脳炎
画像引用:犬と猫の治療ガイド2015

肉芽腫性髄膜脳脊髄炎(GME)

好発犬種 小型〜中型犬(チワワ、パピヨン、トイ・プードル、ミニチュア・ダックス、コーギー)
治療 免疫抑制剤
予後
  • 巣状型、眼型は良好
  • 播種型は不良

壊死性髄膜脳炎(NME)

好発犬種 パグ、シーズー、マルチーズ、ポメラニアン、ペキニーズ、チワワ
治療 免疫抑制剤
予後
  • パグは不良(半年〜3年)
  • パグ以外は進行は緩やか(3年以上)

壊死性白質脳炎(NLE)

好発犬種 ヨークシャーテリア、チワワ、パピヨン、シーズー、マルチーズ
治療 免疫抑制剤
予後 進行は緩やか

脳腫瘍

脳内に腫瘍が発生する病気です。発生部位により症状はさまざまなので、診断にはMRI検査が必要です。症状はけいれん、ふらつき、視覚障害、性格が変わる、ぐるぐる旋回するなどさまざまです。
腫瘍の大きさや位置にもよりますが、内科的に緩和療法を行う場合と、外科手術を行い摘出する場合があります。腫瘍の種類によってはその後に放射線療法を行う場合もあります。

椎間板ヘルニア

椎間板ヘルニアのページをご覧ください。
椎間板ヘルニアについて

環軸不安定症

頸の環椎といわれる骨と軸椎といわれる骨が不安定なために、脊髄が圧迫される病気です。幼い小型犬によくみられ、ふらつきがみられたり、起立困難がみられます。前足と後足の歩幅が異なる特徴的な歩行を示すことが多いです。
治療はコルセット等で保存療法でみていく場合もありますが、生活に支障が出る場合は外科手術により不安定な骨を固定します。

脊髄空洞症

脊髄に過剰に液体成分(脳脊髄液)が溜まる病気です。キャバリアによくみられ、液体が脊髄を圧迫することにより、知覚過敏や痛み、ふらつきなどが出てきます。
治療は脳脊髄液の圧力を下げたり、外科手術で液体の循環障害を妨げる部分を除去したりします。

脊髄空洞症
画像引用:犬と猫の治療ガイド2015

変性性脊髄(DM)

日本ではウェルシュ・コーギー・ペンブロープ特有の病気といわれており、遺伝病です。
中高齢のコーギーで発症することが多く、初めはふらつきや後足の破行がみられ、数ヶ月〜数年で前足の麻痺まで進行する慢性的な疾患です。血液検査で遺伝子検査を行い、診断します。
最終的には寝たきりになってしまい、呼吸中枢である延髄まで進行すると亡くなってしまいます。
治療法は確立されていませんが、進行を極力抑えるサプリなどはあります。
当院では診断をしてから、今後起こりうることを説明し、ワンちゃんのQOLを第一に考え治療を行います。
海外ではバーニーズで多い病気といわれていますので、コーギー以外だからといって、この病気を否定することはできません。

椎間板脊椎炎

脊椎や椎間板周辺の細菌感染を伴う炎症による病気です。発熱や元気消失がみられます。
他臓器から細菌が感染するといわれており、内科的に抗生剤で治療します。

脊髄梗塞

脳梗塞の脊髄版です。症状は急性でふらつきや歩行不能がみられます。特に猫で多く、椎間板ヘルニアとの鑑別が不可欠です。
治療は内科的に行います。

馬尾症候群

馬尾といわれる腰仙椎の神経が障害を受けることにより引き起こる病気です。とくに変性性腰仙部狭窄(DLSS)が最も原因として多く、狭窄することにより馬尾が圧迫されます。シェパードやゴールデンなどの大型犬に多くみられ、ふらつきや排尿障害、痛みなどが主にみられます。
治療は内科的改善率は50%程といわれており、外科手術となると減圧術や固定術が必要となります。

馬尾症候群
画像引用:犬と猫の治療ガイド2015

特発性多発性筋炎

全身の筋肉に炎症が起こる病気です。大型犬や高齢の犬で起こります。筋肉の炎症による萎縮で筋肉が曲がらず、歩幅が短縮したり、飲み込みの障害が出ることもあります。
治療は内科的に行います。

重症筋無力症

神経からの情報を筋肉が受け取れないことで起こる疾患です。すぐに疲れることが特徴で、吐出や巨大食道症を併発することもあります。
診断は血液検査で行い、内科的に治療を行う。

認知機能不全

加齢に伴う脳の退行性変化による進行性の行動変化のことです。当院では痴呆症の診断基準表をもちい、認知機能の低下を問診しています。
認知機能の低下を示す場合、食事やサプリメント、トレーニングを行ったり、動物のQOL向上のために内科的療法を行うこともあります。

ナルコレプシー

日中の眠気が強く、活動性の低下を引き起こす睡眠疾患です。食事や遊戯などの刺激から誘発されることが多いといわれてます。後天性と遺伝性があるといわれており、遺伝性ではドーベルマン、ラブラドール、ダックスフンドが認められています。
治療は内科的に行うが、生涯にわたり付き合っていかなければならない病気なので、飼い主さんの病気への理解が欠かせません。

咀嚼筋炎

大型犬によくみられます。慢性化すると、顎を開く筋肉が線維性組織で置換され、開口障害が認められ、摂食不能に陥ることもあります。
治療は免疫抑制剤の投与が中心となり、早期に治療すれば、予後は良好です。

炎症性筋症

ウェルシュ・コーギー・ペンブロープにみられ、進行すると舌の菲薄化がみられることが特徴的です。原因は不明ですが、免疫介在性疾患があると推測されています。進行すると、舌が折れ曲がり、よだれや食べこぼしがみられます。
早期に発見できれば、内科治療で良好な予後が見込めます。

このように神経疾患はさまざま症状を引き起こします。
また、病院では症状を確認できないことも多く、判断に困るケースもよくあります。
なので、おうちで症状がみられる場合は動画で撮影してもらい、病院で見させてもらうことが重要になってきます。
神経疾患の症状は、突然現れることも多く、初めての場合は動揺されるかもしれませんが、落ち着いて対応することが重要です。
当院では、24時間で急患対応を行なっていますので、焦らずに急患用電話にお電話ください。
何かご不明点があれば、当院までご相談ください。セカンドオピニオンも可能です。